仮想通貨がテーマとなっている小説『アンダーグラウンド・マーケット』を読んでみた

日本の小説家、SF作家である藤井太洋氏が書いた『アンダーグラウンド・マーケット』という作品を読んでみた。暗号通貨が好きな人ならば暗号通貨を扱った映画、小説、音楽などはチェックしておきたいところだろう。

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今回紹介する『アンダーグラウンド・マーケット』の導入にはこのように書いてある。

2018年、日本は2つの経済構造を持つ国になっていた。
移民の流入とともに浸透したデジタル仮想通貨「N円」での取引は、税務当局に捕捉されない無税の地下経済圏を生み、表の社会が無視できなくなる規模に成長していたのだ。
その一方、「公平な税制」の名目で引き上げられた税金は社会を二つの階級に引き裂き、企業の正社員にならなければ地下経済に生きるしかない状況を生んでいた。
木谷巧は、そんな企業の外で働いて生きる「フリービー」と呼ばれる存在。
ITエンジニアとしての技能を活かして、中小企業の商売をN円の無税取引に改造する仕事で報酬を得ていた。
ある日、巧はとあるWebの改造を引き受けるが、それは表と地下、二つの巨大経済圏を揺るがす事件の始まりだった――

まず、この作品中でブロックチェーンテクノロジーについて触れてはいないが「2014年に仮想通貨の取引所が破綻、日本国は仮想通貨を課税対象資産としたが数年もしないうちに通貨と認めた 」などの記述からビットコインを意識していることがわかる。

この作品で取り扱う仮想通貨「N円」は仮想通貨取引企業の発行する地域仮想通貨というもので、中央集権的コインとなっている。そして日本円の価値にペッグしている。

この物語の主人公は仮想通貨「N円」の店舗導入をしのぎとしている。「N円」をうまく利用することによって支払側も店舗側も税金から逃れられるため作品中では導入店舗が増えていっている状態だ。そして作品中の日本は2018年でオリンピックやTTPの影響で大量の移民が流れてきている。彼ら移民もまた仮想通貨を利用するため日本には地下経済が誕生しているのだ。

この本を読んで思ったことは、今後フィアットでなく暗号通貨で報酬を得る人々が増えていった場合に同様の地下経済が構築されるかもしれないということである。そもそもビットコインは現在の金融インフラだけでなく統治のあり方までも一変させるものであるため地下経済の先を考えなければならないだろう。N円取引に会計システム変更する地下の仕事という設定だが、勝手にcoincheckを連想してしまったりと現在のビットコインのエコシステムに置き換えて考えるのが楽しかった。

『アンダーグラウンド・マーケット』はamazon.co.jpで購入可能だ。